“形だけ”の標準書から“現場で使える”標準書へ!
フジオーゼックスが動画マニュアルで実現した
IATF文書管理の改革

フジオーゼックス株式会社

  • 業種 :製造
  • 従業員数 :501-1,000
  • テーマ :新人教育, マニュアル作成工数削減, 生産性向上, 品質向上

お話を伺った方
構造改革部 部長 熊谷様
静岡工場 製造部 副部長北工場長 山本様
構造改革部 係長 永田様
静岡工場 製造部 第5工場 大石様
静岡工場 製造部 北工場 稲村様
人事総務部 戸塚様

  • 課題

    • 新人教育はOJT依存で工数負担が大きく、伝達のばらつきや品質・安全リスクにもつながっていた。
    • 紙の標準書は理解しづらく、IATF16949が求める整合性と現場での実効性の両立が難しかった。
    • 改訂や更新作業が煩雑で工数も大きく、文書の内容精査や品質改善に十分な時間を割けなかった。
  • 効果

    • 作業者の理解度と習得スピードが向上し、監督者の対面教育時間を削減。教育の質を保ちつつ、生産性や品質の安定にも寄与。
    • 動画マニュアルを標準書に紐づける運用で、現場が直感的に理解できる“使える標準書”に進化。IATF文書管理と現場実務のギャップを解消。
    • 紙の標準書に二次元コードを貼り付けして動画マニュアルと連携する運用で、IATF16949に求められる履歴管理・整合性の確保が効率化。

ペーパーレス化の一環で全社員にタブレットを配布したことが、tebiki導入のきっかけでした

フジオーゼックス株式会社 工場外観

貴社の主な事業内容について具体的にお聞かせください

熊谷様: 当社は静岡に拠点を置く自動車部品メーカーです。特に自動車のエンジンにはなくてはならない重要部品である、「エンジンバルブ」に関しては創業以来、絶え間なく技術開発を行ってきたことで高品質かつ多様なオリジナル製品を生み出してきました。
特に、国内最大手の特殊鋼メーカーである大同特殊鋼(株)との素材の共同研究にもとづく製品開発を行うことで優位性を維持し、エンジンバルブ国内トップクラスのメーカーとしての地位を確立しています。

各工程で使用する工具が並んでいる様子

DX推進プロジェクト発足の経緯をお聞かせください

熊谷様: DX推進プロジェクトは、時代の変化に対応しながら業務や組織・企業文化を変革し、競争上の優位性を確保するために、2022年に経営トップが主導する形で発足しました。

当社経営企画部がリーダーとなり、ITソリューショングループ、経理部、人事総務部、製造部、品質保証部と横断的チームを発足し、全社一丸となって取り組む体制を構築しました。

私は、当時製造部の北工場長でした。当社としては比較的新しい工場でありIoT化がしやすいという面と、女性を含めた若手従業員も多く、DXに対して抵抗が少なく前向きで、何か変革を起こしてくれるのではないかという期待をもってプロジェクトに参画する流れとなりました。

DX推進プロジェクトの具体的な取り組みを教えてください

熊谷様: DX推進にあたり、まずはペーパーレス化とIoT化という2本柱を掲げて取り組みを推進して参りました。
現場においては記録する作業が非常に多く、データ管理のために直筆のものをエクセルに転記するなど、無駄な作業・工数が多いと感じておりました。記録媒体を紙からタブレットへ変更することにより、今までデータ転記・入力作業に割いていた時間を改善する時間に置き換え、そのスピードを上げていくことで自職場がより快適になるという小さな成功体験を現場にしてもらうことが、プロジェクト推進側としては一つ目のミッションでした。

ただし、この2本柱はあくまで手段の一つであり、その先の業務効率化および企業文化の革命を見据え、現在も活動しております。

「紙の標準書の伝わりにくさ」と「OJTによる教育工数の負荷」が原因で、品質や安全面に悪影響が出ていました

動画マニュアルの導入前に生じていた、現場の教育上の課題についてお聞かせください

山本様: 紙での標準書は現場にありますが、やはり細かなニュアンスが伝わりにくいです。また、新人教育は現場で先輩が2週間ほどつきっきり教育しますが、一度で覚えられることには限界があります。新人からすると、先輩に同じことを何回も聞くのは気が引けると思います。そうなると聞かずに我流で作業を進めてしまい、標準作業から逸脱し、品質・安全に負の効果が現れます。一方で先輩作業者も、突発的な生産対応など、新人に割く時間を十分に確保できない場面も発生しておりました。

動画マニュアルの導入を前向きに検討するようになった理由についてお聞かせください

熊谷様: 動画マニュアルを検討した経緯として、全社的にタブレットを導入したことがきっかけになっています。
ペーパーレス化の一環で作業日報や設備稼働管理等を電子化するため、現場従業員へタブレットを配布することが決定しておりました。
そこで、タブレットで閲覧できる動画マニュアルを導入することで、現場での教育工数の削減に繋がるのではないかという考えからスタートしました。

新人としては、先輩に気兼ねすることなく何回も自分のタイミングで作業方法を確認でき、先輩としては伝承しづらい部分を動画で詳細に残すことにより、次の教育工数を削減できます。加えて、人による作業のばらつきを抑えられたら品質も安定するでしょう。
新人にも先輩にも喜んでもらえることはもちろん、品質の改善にも繋がり、多くのメリットが期待できると考えました。

数あるツールのなかで、tebikiを選んだ決め手をお聞かせください

山本様: 現場で動画マニュアルを作成してもらうことを前提に、DX推進プロジェクト員と現場の作業員で、他社の分析ツールも含めトライアルでtebikiを利用してみました。
現場の声としては「感覚的に動画を作成できる簡素さ」「多くの外国語に自動翻訳できる便利さ」などが好評で、これらがtebikiを選んだ決め手になったと思います。

IATF 16949の認証維持において、本当に現場で“使える”標準書となっているのか、という疑問がありました

IATF 16949の認証維持において感じていた課題を教えてください

山本様: IATF 16949認証を維持することは会社として非常に重要なことです。ただ、文書作成や管理といったものが主となってしまっていて、中身の精査が後手に回ってしまっていた部分が少なからずありました。文書は決して適当に作成しているわけではありませんが、そのブラッシュアップに時間と手間をかけることができていなかったと、個人的には思っています。

標準類は現場にそろっています。しかし、本当に現場で”使える”標準書となっているのか、認証を維持するために”形だけ”の標準類になってしまっていないかという疑問は感じていました。写真などでわかりやすく作成したつもりでも、やはり細かいところまでは作業内容が伝わらず、結局わかる人に聞きなおす、ということが常態化していたように思います。

大石様: また、従来の紙の手順書作成はとても非効率だったと思います。
具体的には、作業の急所や注意点を都度スマートフォンで撮影し、それをPCに取り込んで、写真をExcelに貼り付け、文章を追記していくという流れでした。
一つ作るだけでもかなりの時間と労力がかかり、手順書を複数作成しなければならない場面では、作業工数が非常に膨らんでしまっていました。加えて、紙での手順書は「見にくい」「写真と文書だけでは分かりにくい」といった課題があり、紙での手順書作成には限界を感じていました。

標準書に動画マニュアルの二次元コードを貼付する運用で、作成工数を約1/10に削減できました

IATF 16949の認証維持に、実際にはどのようにtebikiを活用していますか

工程ごとに対応する動画マニュアルの二次元コードを掲示し、簡単にアクセスできるようにしている様子

大石様: 文書管理に活用する形で、新たに手順書を作成する際に動画マニュアルを積極的に使っています。
標準書にtebikiで作成した動画マニュアルの二次元コードを貼付し、タブレットでコードを読み込めば、すぐに手順の動画が見られるようにしています。

従来感じていた文書作成・管理の負担はどの程度軽減されましたか

大石様: 従来の紙媒体による手順書作成と比較して、tebikiを活用した動画マニュアルの作成は、体感として作業工数を約1/10にまで削減できた印象があります。
tebikiの動画マニュアル作成はスマホ1台で撮影・編集ができ、非常に簡単でした。

以前は、手順書用の写真が不足していることに後から気づき、何度も現場へ足を運んで再撮影する必要がありました。
一方tebikiでは、作業全体を動画で一括撮影することにより、抜け漏れが発生せず、必要な情報を網羅的に記録できます。その結果、スムーズかつ効率的に手順書を作成することが可能となりました。

また、IATF 16949においては、文書および記録類の管理に関して、改訂履歴の明確化、妥当性の維持、整合性の確保が求められています。
動画マニュアルの手順に変更があっても、二次元コードのリンクは変わらないので、自動的に改定が完了し、整合性が保てる点も魅力だと思います。

稲村様: 私は今まで動画の編集をしたことがなく、うまく動画マニュアルを作成できるか不安でした。しかし、tebikiは初心者でもとても使いやすく、スタンプなど活用して注意点や重要な部分をわかりやすく説明できるので、とても良かったです。動画の追加やカットが簡単にでき、下書きに入れておけばいつでも自分のタイミングで更新できるところも、融通がきくので作業しやすいと思いました。

山本様: これまで海外子会社や外国からの実習生への教育は、標準書を翻訳する必要があり、そこに多くの時間がかかってしまう傾向にありました。tebikiには自動翻訳機能があるため、都度翻訳する必要もなくなり、海外子会社への標準書の展開がよりスムーズになりました。

作業者の習得スピードと理解度が向上し、“使える標準書”になっていることを実感しています

IATF 16949の文書管理にtebikiを活用することで、どのような教育効果が得られましたか

実際にタブレットで動画マニュアルを閲覧している様子

大石様: tebikiの動画マニュアルの活用により、「監督者による対面教育」の頻度が明らかに減少してきたという印象があります。以前は、どれほど完成度の高い紙の手順書を作成したとしても、文字と写真のみでは作業内容の全てを正確に伝えることは困難で、現場監督者が紙の手順書を用いて作業者へ直接指導・教育を行うことが一般的でした。

こういった変化は、tebikiの動画マニュアルが映像・音声・字幕といった複数の感覚に訴求する構成となっており、作業の流れや注意点が視覚的・聴覚的に伝わることで、作業者の理解度が向上していることが一因と考えられます。

その結果、作業者の習得スピードが向上し、「監督者による対面教育」が必要なくなり、監督者が教育に費やしていた時間を新設設備の立ち上げ準備など、より付加価値の高い業務に充てることが可能となりました。実際に、新設設備の立ち上げの際、従来よりも短期間での稼働開始が実現できました。

現場作業者からも、動画マニュアルは作業手順を視覚的・聴覚的に直感的に理解できるため、「分かりやすい」と高評価を得ています。IATF 16949の文書としての整合性を保ちつつ、現場からも「動画マニュアルでの手順は分かりやすい」という声があり、いい活用法だったなと感じています。

また、tebikiはモバイル端末やPCを通じて現場以外の場所からでも視聴が可能です。作業者は、現場に入る前にtebikiで作業内容を予習することができ、「事前に確認できて安心感がある」「現場に入る前にイメージが掴めた」といった声もありました。
このように、作業前の理解度を高めることで教育効果を最大化し、実作業におけるミスや戸惑いの低減にも寄与しています。品質の安定化にも好影響を与えていると思います。

tebikiのおすすめポイントは、手厚いサポート体制と自動翻訳機能です

tebikiの導入を検討している企業の方に向けて、tebikiのおすすめポイントを教えてください

永田様: サポート体制は充実していると思います。当社ではtebiki導入後、動画アップロードの方法など現場向け教育を数回にわたりお願いし、対応してもらいました。また、担当の方と定期的にオンラインミーティングがあり、動画マニュアルの活用法について相談したり、新機能の説明など受けたりできる点もありがたいです。

動画マニュアルの機能としては文字おこし機能がおすすめです。日本語で話した内容が自動的に字幕生成されて、さらに多言語に翻訳できる機能は、外国人実習生の教育や海外子会社向けの標準類作成と周知に、本当に重宝しています。

工場で作業に従事する2名のスタッフ

弊社では、昨年からベトナム人の技能実習生が配属されたこともあり、多言語対応の必要性が一気に高まりました。これまでの紙の手順書はすべて日本語のみで構成されており、言語の壁が教育の大きなハードルとなっていました。
彼らが従事する作業エリアを優先的に動画マニュアル化し、視覚と母国語字幕で作業手順を伝えることで、理解度と教育効果が飛躍的に向上すると感じています。

今後「動画マニュアル化していきたい業務」や「活用を広げたい対象業務」を教えてください

熊谷様: 現在、製造部門が先頭に立って運用をしております。今後は動画の利点を最大限に生かし、繰り返しになるような事務的な手順の動画マニュアル化を進め、従業員の負担を減らしていきたいと考えています。

戸塚様: 実際に、製造部だけでなく事務部門でも動画マニュアルの活用を推進しています。
社内でのエンゲージメント調査を通じ、自部署や他部署の業務内容が不明瞭で、自分の仕事がどのように役立っているかわからないという声があがったため、tebikiを通じた部署の紹介動画を作成いたしました。
tebikiという共有のサービスを利用することで、多くの従業員の方に視聴していただけると思いますので、自部署や他部署の仕事理解、仕事へのモチベーション向上に繋がるのではと期待しております。

熊谷様: また、tebikiには「誰が・どのマニュアルを・何回視聴したか」といった閲覧履歴を可視化できる機能が備わっており、活用状況のモニタリングが可能です。
今後はこの機能を活用し、視聴状況に応じたフォローアップや、定期的な視聴の仕組みづくりを検討することで、単なる“形だけ”のマニュアルとならないよう、運用面でさらに工夫していきたいと考えています。

大石様: 現状では、紙の手順書が圧倒的に多く、感覚的には紙の手順書99%、動画の手順書1%といった割合です。
本来であれば既存の紙の手順書もすべて動画マニュアル化したいところですが、社内には膨大な量の紙の手順書が存在しており、すべてを一気に移行するのは現実的ではありません。
そのため、まずは新規作成分や必要性の高い領域から、現場と連携しながら段階的に動画化を進めています。

まだ動画マニュアルが一般化しているとは言いがたく「動画の手順書ってあるの?」と感じている現場作業者は一定数いるのではないかと思います。

将来的には、既存の紙の手順書についても動画化を進めていき、「手順書=紙」ではなく「手順書=動画」という文化を現場に根付かせていきたいと考えています。