多国籍現場のばらつきを解消
― 動画で実現するグローバル標準化 ―

ヒロセ電機株式会社

  • 業種 :製造業
  • 従業員数 :3,001-5,000名
  • テーマ :海外拠点,品質向上,新人教育

お話を伺った方:マレーシア工場 品質管理部 部長 蜂谷様
品質管理部 アフィク様
品質管理部 ハシマ様
インドネシア工場 品質管理部 リスカ様

  • 課題

    • 言語や経験の差による理解のばらつきが、ヒューマンエラーにつながっていた
    • 紙・英語のみのSOPでは、動きや判断基準まで十分に伝えられなかった
    • 多拠点で同一の品質基準や教育内容を共有する仕組みが整っていなかった
  • 効果

    • 動画で重要ポイントを可視化し、理解のばらつきを大幅削減
    • 「まず動画を見る」文化が定着し、教育負担を軽減
    • 共通フォーマットにより、拠点間で同じ基準の展開が可能に

マレーシア工場など多国籍現場で動画マニュアルtebikiを活用

事業内容について教えてください

蜂谷様:当社はコネクタ電子部品の製造を行っています。
ここマレーシア工場では、産業機器向けや高速データ伝送向けのコネクタを主に担っています。日本本社からの受注に基づいて製造・納入しており、設計や生産設備は本社で立ち上げた後、マレーシア工場へ移管し量産化するというグローバルな生産体制で運営しています。

リスカ様:インドネシア工場でも生産を担っており、約400名の従業員に加えて協力会社の作業者も多く関わっています。協力会社の作業者も含めると教育対象となる人数は多く、拠点間で品質基準や教育内容を共有しながら運営しています。

教育や作業標準に関するイメージ

多国籍現場での「人に依存しない再現性」を目指して

tebiki導入前の課題について教えてください

蜂谷様:マレーシア工場の現場は多国籍チームであり、一番の課題は「言葉の壁」でした。英語を公用語として手順書や掲示物を用意していましたが、実際には読み書きレベルに個人差があり、国籍ごとに理解のしやすいコミュニケーション方法も異なります。
また、当工場では契約雇用の従業員が多く入れ替わりが発生するため、常に一定の教育水準を維持し、指導のバラつきをなくす「人に依存しない再現性」を確立することが急務でした。教育やコミュニケーションは英語をベースにしつつ、現場ではマレー語・インドネシア語・日本語も併用しています。紙のSOPや掲示は英語中心ですが、現場の実態に合わせてマレー語・インドネシア語の補助表記を増やし、動画マニュアルでは字幕を多言語で切り替えられるように運用しています。

アフィク様:最大の課題は、紙ベースで英語のみのSOPでは現場に必要なことをすべて伝えきれなかったことです。文字や写真だけでは動きやコツが十分に伝わらず、「なぜOKなのか」「なぜNGなのか」といった重要な背景も理解されにくい状況でした。その結果、小さな自己判断やショートカットが生まれ、ヒューマンエラーにつながっていました。同じ状況はインドネシア工場でも起きており、説明するだけでなく「見せて共有する」標準の仕組みが必要でした。

現場でtebikiを活用しているイメージ

リスカ様:インドネシア工場では、協力会社の作業者も含めて多くの人が生産に関わるため、教育の一貫性を保つことが難しいという課題がありました。品質基準や作業手順を同じように理解してもらう必要がありますが、紙のSOPや口頭説明だけでは伝え方が人によって変わってしまいます。また、高校新卒など若手の人材が配属されることもあり、文章中心の教育では理解に時間がかかるケースもありました。こうした背景から、誰が見ても同じように理解できる教育の仕組みが必要だと感じていました。

tebiki導入経緯について教えてください

アフィク様:私たちに必要だったのは、見ればすぐに分かる共通の“視覚的な標準”でした。紙のSOPではどうしても説明が抽象的になり、解釈の幅が手戻りや教育の長期化につながっていましたが、現場に動画のプロトタイプを見せたとき、すぐに「読むより、動きを見たほうが早い」という声が上がりました。動画であれば国籍や読み書きのレベルに関係なく理解をそろえられると実感し、tebikiを単なる効率化ツールとしてではなく、多国籍拠点で“同じやり方”を共有するための標準基盤として導入を決定しました。

現場でtebikiを活用しているイメージ

言葉の壁を越えた教育により、全体のスピード向上と標準化を実現

tebikiを活用した教育業務での導入効果を教えてください

ハシマ様:最も大きな成果は、これまで紙のSOPでは曖昧だった重要なポイントが、動画によって誰にでも同じ理解度で伝えられるようになったことです。作業者自身が動画で正しい順序や注意点を確認できるため、手戻りや繰り返し説明の回数が減り、教育にかかる時間と現場全体の立ち上がりスピードが向上しました。
さらに、共通フォーマットを整えたことで、すべての工場が同じ標準を参照できるようになり、インドネシア工場など海外拠点や協力会社を含めた教育水準の底上げにもつながっています。
特に、ラインや作業場所にQRコードを配置し、必要な動画にすぐアクセスできるようにしたことで、作業前に「まず動画で確認する」動きが習慣として定着しやすくなりました。確認が個人任せにならず、拠点として同じ基準で立ち上げやすくなった点は大きいと感じています。

現場でtebikiを活用しているイメージ

リスカ様:インドネシア工場では、作業を一定期間担当していない場合にミスが発生しやすいという課題もありました。そのため、作業から一定期間離れた場合は動画マニュアルを使った再教育を行い、手順や注意点を改めて確認できるようにしています。
また、動画は文章よりも理解しやすいため、若手の新卒メンバーや協力会社の作業者にも伝わりやすく、教育の一貫性を保つうえでも大きな効果を感じています。

多国籍現場の標準化を支える運用体制について教えてください

蜂谷様:多国籍環境で同じやり方を定着させるには、人による説明だけでは限界があるため、最初に「仕組みを見せる」ことに力を入れました。各部門から動画作成のリーダーを選任し、撮影ルールやファイル名の付け方などのルールを統一しています。“最短でコツが伝わる動画”を共通基準として定期的にレビュー会を行うことで、部門ごとのブレを防ぎ、どの拠点でも同じ目線で質の高い動画を作れるようになっています。
また、拠点間で同じ標準にたどり着けるよう、作業種別・工程種別のフォルダ構成も共通化しています。マレーシアで作った成功パターンをインドネシア側でも参照・横展開できる状態を整えることで、拠点をまたいだ教育のすり合わせも進めやすくなりました。

現場でtebikiを活用しているイメージ

多国籍拠点をつなぐ「世界共通の標準化」を実現したい

今後の展望について教えてください

蜂谷様:現在は日本本社でも導入が始まり、全社展開に向けた第一歩を踏み出した段階です。今後は安全管理や設備保全などの主要領域のマニュアルを共通テンプレートで整備し、各拠点がローカル言語の字幕を付けてスムーズに多言語展開できる運用を目指しています。
さらに現場運用としては、QRコードやバーコードから必要な動画をすぐ参照できる“引き出し運用”も標準化し、検索から視聴までを数十秒で完結できる状態を目指しています。こうした導線が整うことで、どの拠点でも「同じやり方」が自然に回る状態をつくりたいと考えています。
将来的には、ISOの文書管理とtebikiを一体化させ、改訂管理や承認フローの中に動画を正式に組み込むことで、より高度なグローバル標準化と品質保証の仕組みを構築していきたいと考えています。