段取り替えの標準化と多能工化により、
ラインの安定稼働を実現
キッコーマンソイフーズ株式会社
- 業種 :製造
- 従業員数 :501-1,000名
- テーマ :新人教育,マニュアル作成工数削減,安全教育,多能工化
お話を伺った方:岐阜工場 第二製造部 梱包グループ 竹中様
岐阜工場 第二製造部 梱包グループ長 大橋様
生産推進室 生産技術部 IT/DX推進グループ 城石様
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課題
- 3交代シフトと作業タイミングが合わず、段取り替えの教育機会が限られていた
- OJT依存の教育体制が多能工化の壁となり、特定の作業者に依存した現場になっていた
- 危険箇所を言葉や文書で伝えることが難しく、不安全行動のリスクが残り続けていた
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効果
- 誰でも・いつでも学べる環境が整い、段取り替えの多能工化と安定稼働が前進した
- OJT依存から脱却し、習熟度のばらつきが縮小、特定の作業者に依存しない現場を実現した
- 動きの中にある危険箇所を動画で正確に伝えられるようになり、安全意識が向上した
豆乳の国内シェアNo.1を支える、
幅広い製造現場でtebikiを活用
貴社の主な事業内容についてお聞かせください。
城石様:キッコーマンソイフーズ株式会社は、豆乳を主とする飲料の製造・販売を通じて「健食健美」を提供することを目指している企業です。調製豆乳・無調整豆乳といった定番商品から、バラエティ豊かなフレーバー商品まで幅広いラインアップを展開しており、国内シェアNo.1を誇ります。
tebikiの活用範囲は、製造現場からバックオフィスまで多岐にわたります。品質管理部門では分析機器のメンテナンスや検査業務、前処理・調合滅菌・充填・梱包の各工程では製造設備のメンテナンスや点検・検査・洗浄手順の教育に、総務では各種申請方法や社内ルールの解説にも使用しています。
3交代シフトと作業タイミングが
段取り替えの多能工化を阻んでいた
tebiki導入前の課題について教えてください
大橋様:梱包グループが担う工程は、賞味期限などの印字から始まり、パックの箱詰め、パレット積載、倉庫への搬送まで、一連の流れを安定稼働させることが求められます。安定稼働を実現するためには、特定の作業者に依存しない体制づくりが欠かせません。誰が出勤していても同じようにラインを動かせる多能工化こそが、安定稼働を支える土台となるからです。
しかし、多能工化を進める上での壁となっていたのが、OJT依存の教育体制でした。教育者は約3カ月という限られた期間内に多くの作業を指導しなければならず、教育者・被教育者の双方に大きな負担が生じていました。教育者自身もラインを担当しながら新人教育を並行する必要があり、全工程を教えきることが難しい状況が続いていました。若手中心の現場では「一度聞いたことを聞き返しにくい」という心理的なハードルも存在し、作業者ごとに習熟度のばらつきが生じやすい構造的な問題もありました。
中でも特に教育が滞りやすかったのが段取り替え作業です。段取り替えは作業が発生するタイミングでしか実地で教えられないうえ、3交代制のシフトとも相まって、教育できるシーン自体が限られていました。段取り替えをこなせる人員が一部に限られると、担当者が不在のタイミングで製品サイズの切り替えが必要になった際に、生産ラインの稼働そのものに影響しかねません。多能工化を目指すほど、この教育の滞りが現場の足かせとなっていました。
竹中様:こうした状況を改善しようと、班ごとに協力して教育を行い、紙の手順書を作成して標準化を図る取り組みも進めていました。しかし紙の資料では、設備の幅を狭めたり広げたりするような動きの細かな違いが伝わりにくく、担当者による解釈の差が残ったままになってしまいます。説明のために写真や文字が増えるほど資料は読みにくくなり、標準化が進まないという悪循環に陥っていました。中でも安全面の伝達は特に課題が大きかったです。段ボールを接着する糊の温度は180℃近い高温に達するにもかかわらず、「高温の糊がどこにあるか」は文書では直感的に伝わりにくく、不安全行動を招くリスクが残り続けていました。結局、紙の手順書だけでは標準化に限界があり、OJTを繰り返すしかない状況でした。
tebiki導入経緯について教えてください
城石様:こうした背景から、誰でも・いつでも学べる仕組みをつくるために動画マニュアルを検討することになりました。動画マニュアルは視覚的に理解しやすく、隙間時間での自主学習ができるため、教育負荷の削減と省人化につながると判断しました。複数のツールを比較検討する中でtebikiを選んだ理由は、シンプルさと管理機能が充実していたためです。社内の一部の部署では他社の動画作成ツールを使っていたこともありましたが、操作方法が難しく属人化が進んでしまい、活用が広がりませんでした。一方tebikiは、無料トライアルの段階で「誰でも迷わず使える」という確信が得られ、様々な管理機能が充実している点も評価されました。推進担当者による手厚い並走支援があり、運用開始までのハードルが低かったことも、最終的な決め手となりました。「無料の動画編集ソフトもある中、費用をかけて導入するのはどうか」「本当に現場で活用されるのか」といった社内からの懸念の声もありましたが、無料トライアルを通じて編集操作等が難しくないことを現場が直接体験したことで、導入への不安は払拭されていきました。
「教えられるタイミングがない」を動画が解決し、
安定稼働を支える多能工化が実現
tebikiの活用方法について教えてください
大橋様:梱包グループでは、教育中はもちろん、生産がない空き時間にも動画マニュアルを予習・復習として活用しています。実際に段取り替え作業が発生する設備の近くで、動画を見ながら作業をイメージしてもらうスタイルが定着しています。動画マニュアルが完成した際には担当者全員にメールで共有し、どの班・シフトでも閲覧できるよう班代表者1名にアカウントを割り当てています。テスト機能を活用して作業習熟度の測定も行っており、動画リンクをQRコード化して紙の手順書に紐づけることで、紙とデジタルを組み合わせた運用も実現しています。
竹中様:動画を作る上で意識しているのは、初めて見る人でも危険箇所や作業内容が理解できることです。知識が必要な部分には補足を入れて分かりやすくし、危険な箇所やNG行為はスタンプで視覚的に区別したうえで、なぜダメなのかという理由まで記載するようにしました。見ている人が飽きないよう、全体的に短く簡潔にまとめることも心がけています。
動画マニュアルはこだわりすぎると作成に時間がかかってしまうので、まず短時間で形にすることを意識しています。その上で上長からの指摘や改善提案を反映しながら、より分かりやすい内容へと仕上げていくようにしています。前準備や撮影のための人員確保など負担が増えた部分もありますが、文書より動画の方が短い時間で作成できますし、手順書の承認もPC上ですべて完結できるようになったので、トータルでの作成負荷は大きく軽減されました。
tebiki導入後の効果について教えてください
大橋様:tebiki導入の効果は、数字として明確に現れています。導入前、「ケーサー段取り替え手順」の教育に教育者が費やしていた時間は、1名あたり合計140分でした。手本を見せ、一緒に実践し、横について指示するという工程を繰り返す必要があり、教育者がラインを担当しながらこの時間を捻出することは現場にとって大きな負担でした。
tebiki導入後は、3回目以降を「動画マニュアルを見ながら1人で実践し、教育者は確認のみ」に変更したことで、1名あたり60分にまで圧縮されました。教育者がOJTに拘束される時間を1人あたり80分削減することに成功しています。OJT負担が減っただけでなく、動画はいつでも繰り返し見ることができるため、3交代制のシフトに関わらず自分のペースで予習・復習ができるようになりました。教育できるシーンが限られていた段取り替え作業でも、動画を事前に視聴してから実践に臨むスタイルが定着し、習熟度のばらつきも縮小しています。多能工化を阻んでいた「教育機会の少なさ」という根本課題に対応できるようになりました。
竹中様:安全面でも大きな変化がありました。文書では伝わりにくかった高温の糊の位置など、動きの中にある危険箇所を動画で具体的に示せるようになったことで、現場の安全意識の向上にもつながっています。OJT教育が減ったことで教育者の拘束時間が短くなり、tebiki内でコースを振り分けてあるので文書をファイル内で探す手間も省けています。紙の手順書では伝えきれなかった標準化も、動画によって作業の解釈のばらつきが減り、少しずつ前進しています。
城石様:想定外の効果もありました。動画マニュアルを他工場でも活用しようとしたことで、同じ作業でも工場ごとに手順に差異があることが明らかになりました。標準化が難しいという課題への取り組みが、工場をまたいだ手順の統一という新たな議論へと発展したことは、動画マニュアルがもたらした大きな副産物となっています。
他工場への展開へ、
安定稼働を支える基盤をさらに広げていく
今後の展望やTebikiに期待することを教えてください
大橋様:導入開始からおよそ半年で業務への効果を明確に実感できました。運用上の悩みに対してTebikiの担当者から的確なアドバイスをもらえるため、安心して取り組めます。直感的に操作できるシンプルなUI設計によって誰でも使いやすいシステムになっており、属人化を防げる点も大きなメリットだと感じています。
城石様:今後は岐阜工場にとどまらず、他工場への展開も含めて省人化や業務統一などの効果が期待できる業務を優先しながら、動画マニュアルの作成を進めていく考えです。OJT依存から脱却し、誰でも・いつでも・どこでも学べる環境を整えることが、特定の作業者に依存しない安定稼働の実現につながります。岐阜工場で進めてきた教育体制の強化を踏まえて、当社の製造現場を支える基盤へと広げていきたいと思っています。