可視化 × 教え込む仕組み化で実現する
― 技術を資産に変える教育改革 ―
新明工業株式会社
- 業種 :製造
- 従業員数 :1,000-3,000名
- テーマ :新人教育,マニュアル作成工数削減,外国人教育
お話を伺った方:業務管理部 推進・統括管理室G GL 中村様
住吉特装部 モノづくり推進室 室長 曽我様
住吉特装部 モノづくり推進室 勝野様
住吉特装部 モノづくり推進室 近藤様
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課題
- 紙の手順書で、カン・コツや感覚的な技能まで伝えきれず、教育担当者の説明が繰り返し発生していた
- 教え方が属人的で、教育の質にばらつきがあり、手直しや修正などのムダ工数が発生していた
- 教育の再現性が担保できず、「標準作業の可視化」と「教育の仕組み化」が分断されていた
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効果
- 新人受入教育におけるリーダーの教育工数を約40%削減
- 教育内容の統一と抜け漏れ防止により、安全・品質の安定化を実現
- 外国人作業者にも正確に伝わる環境を構築し、多様な人材が活躍できる基盤を整備
可視化だけでは足りない。教育の“再現性”という壁
貴社の主な事業内容について具体的にお聞かせください
曽我様:「クルマの一生を支え、クルマの未来をつくっていく」というミッションのもと、5つの事業を展開しています。電動化設備・生産設備・FAシステム、車検や整備を行うカーサービス事業、消防車や道路維持作業車といった、はたらくクルマをつくる特装車製作事業です。
また、トヨタ自動車様との強いパートナーシップのもと、試作・開発段階から携わり、世界中の自動車工場で使われる生産設備や、工場間を移動する部品搬送車などを生み出しています。
新明工業が考える、教育の重要性について教えてください
中村様:私たちは、教育を非常に重要なテーマとして捉えています。
整備の現場では、作業者の安全だけでなく、お客様の車の品質・安全も守らなければなりません。
この状態を実現するためには、2つが必要だと考えています。
一つは、標準作業の可視化。もう一つは、教育の仕組み化です。
可視化は「認識のズレを防ぐこと」、仕組み化は「誰でも同じ水準で習得できる状態をつくること」。この両方が揃って初めて、教育の再現性が生まれます。
“標準作業を可視化するだけでは不十分であり、教え込む仕組みまで設計して、初めて、技術は会社の資産になる“と考えています。
動画マニュアルの導入経緯を教えてください
中村様:導入前は、「可視化」と「仕組み化」のそれぞれに課題がありました。
まず「可視化」については、紙の手順書では正しい動きを文章で説明できても、実際のカン・コツや感覚といった技能そのものを伝えることが難しかった点です。教育担当者が同じ説明を何度も繰り返し行う状況が生まれていました。
曽我様:一方の「仕組み化」では、本来は教え方まで標準化することが理想ですが、教え方が人に依存してしまうという課題がありました。要領書で作業手順を可視化していても、教育の進め方や伝え方が属人的なままでは、教える人によってクオリティが変わってしまう・教育者の負荷が高い・手直し修正などのムダな工数が発生することがありました。
このように、教育の再現性を高める仕組みを作ることが大きな課題だったと感じています。
多品種小ロットを支える特装部と、意味理解を重視するカーサービス ― 部門特性に合わせたtebiki活用 ―
実際にtebikiをどのように活用されていますか?具体的な取り組みを教えてください
曽我様:特装部では、新人受入教育においてtebikiを活用しています。当社の特徴として、多品種小ロットで消防車や、道路維持作業車などのはたらくクルマを作っていますが、作業の要素には共通部分が多く、tebikiでは、そうした共通要素を組み合わせて動画マニュアルを作成しています。
着手前ミーティングで、tebikiを見て作業内容を確認する予習や他部門を学ぶ、部門別教育で共通教育として使用しています。新人受入教育以外の用途では、ベテラン社員でも手順のばらつきなどの可能性があり、品質への影響を無くすため、現場と品質保証部で手順を整理し、tebikiを作成・展開することで、品質の安定にも繋がっています。
中村様:カーサービスでは、整備士が入社した際の1ヵ月間の研修で、主に活用しています。
まずは要領書で、細かなポイントや工程表を理解してもらい、次に、tebikiをスクリーンに映して全員で視聴し、作業の流れやカン・コツを視覚的に掴んでもらいます。
特に重視しているのは、“作業を行う意味”の理解です。単に手順を覚えるのではなく、「なぜこの順番なのか」「どこに注意すべきか」を理解してもらうことで、安全と品質を守る力に繋げています。
動画化にとどまらない“教育の仕組み化”が
現場を変える
tebikiの活用でどのような成果がありましたか?
勝野様:tebikiの活用で、大きく2つの成果がありました。
一つ目は、新人受入時の教育時間を削減できたことです。これまでの教育方法と比べて、リーダーが費やす時間が、約40%削減できました。要素作業をtebikiで予習してもらい、その後に実際の作業、必要なタイミングでリーダーがチェックしながら最後も、tebiki動画を見ながら自己チェックする流れなので、リーダーがずっと張り付いて教える作業を減らせるようになりました。
さらに、外国人作業者にも正確に情報を伝えられるようになったのも大きな成果です。
二つ目は、教育内容の統一と抜け漏れの防止です。作業前に動画を見てもらうことで、予備知識を持った状態で作業に入れます。その結果、教育のばらつきや抜け漏れがなくなり、より効率的に安全・品質の安定に繋げられています。
tebikiを現場で定着させるため・形骸化させないために工夫しているポイントがあれば教えてください
近藤様:tebikiを定着させるうえで意識しているのは、使いたいときにすぐアクセスできる環境を整えることです。部品保管棚にQRコードを貼り、作業者がいつでも動画マニュアルを確認できるようにしています。さらに、3Dデータを活用した組立て支援ソフトとtebikiを連携させ、作業中にソフト画面上から、動画にアクセスできる仕組みを導入しています。
もう一つのポイントは、推進体制をプロジェクト化したことです。tebikiが必要なマニュアルリストを作り、チームで役割を明確にして作成を進めています。
最初は「この手順で本当に合っているか」と不安もあり、作成が進まなかった時期もありましたが、承認機能で確認プロセスを設けたことで、不安が解消されて、作成スピードも上がりました。
現在では、多くの社員が率先してマニュアルを作る文化が少しずつ根付いてきています。
また、導入当初から現在に至るまで専任担当の方に継続的に伴走していただいている点も大きな支えです。社内勉強会や定例ミーティングを通してフィードバックをもらえることで、運用の定着に非常に役立っています。
“わかる”から“できる”へ。
自ら学べる環境が教育を変えた
tebikiを使う前と比べて、作業の理解や覚えやすさに変化はありましたか?
グエン様:tebikiを使う前は、日本語のテキストで学習していたため、私たちのような外国人にとっては専門的な言葉が出てきた際に、理解するのに時間がかかっていました。tebikiでベトナム語なども表示していただくことで、作業の理解や作業が覚えやすくなりました。
今後、新明工業では外国人のスタッフが増えていくと思いますので、tebikiを使って助けていただきたいと思います。
実際の作業の中で、tebikiを見て助かった場面や気づきはありましたか?
加藤様:tebikiを使って新入生教育を行っています。動画で教えることで、作業における注意ポイントや、手順をしっかりと認識してもらえるようになりました。
新入生用のコースを整備したことで、作業の順番通りに手順を習得できるようになったので、自分が席を外すことがあっても待ってる間に動画を見ながら個人学習をしてもらえることで教育が効率的に進められるようになりました。
機能と仕組み、そして伴走支援があったからこそ、
教育を定着させることができました
tebikiのおすすめポイントを教えてください。
近藤様:tebikiの大きな魅力は、単に作業手順を可視化するだけでなく、教育の仕組み化まで支援してくれることです。作成機能がシンプルに絞られているため、短期間で多くのマニュアルを作成でき、経験の浅い人や外国人従業員でも理解しやすくなります。
さらに、作成した動画マニュアルを現場に浸透させる運用まで丁寧にサポートしてくれるので、「機能と仕組みの両輪」で、現場教育を定着させられる点が他社にはない大きな強みだと感じています。
今後、動画マニュアル化していきたい業務や活用を広げたい対象業務を教えてください。
近藤様:現状は基本作業を中心にtebikiを作成していますが、今後は、レストアなど熟練者の感覚が重要な、特殊技能を伝承する業務にも力を入れていきたいと考えています。
また、新明工業全体でtebikiの活用の輪を広げ、効率的で高品質な製品を生産できる環境をつくっていきたいです。