5年かかる製餡技術を動画で継承し、
1年目から製造を担える育成体制を実現

株式会社ナニワ

  • 業種 :製造
  • 従業員数 :101-500名
  • テーマ :新人教育

お話を伺った方:工場長 杉本 健児 様
生産技術部 生産管理課 課長 加瀬澤 啓郎 様
製造部 品管アシスト 鈴木 紋加 様
生産管理課 生産アシスト 杉本 知香 様
製造部 製品課 梱包グループ 藤岡 美優様
製造部 製造課 係長 小西 孝幸様

  • 課題

    • ベテランの勘やコツに頼る製餡技術が属人化していた
    • 製餡工程の習得には5年かかり、新人の早期戦力化が難しかった
    • 品質確認のたびに上司の確認が必要で、現場の工数が増加していた
  • 効果

    • 職人の勘やコツを動画で見える化し、技術の標準化・継承を実現
    • 完成形を動画で学べるようになり、1年目から製造を担える育成体制を構築
    • 動画で完成形を確認できるようになり、年間250時間の確認工数を削減

安定した品質の餡を製造するために、長年勤めているスタッフの職人的な勘やコツに頼っていました

貴社の事業内容について教えてください

杉本様:弊社は、コンビニやスーパーで販売されているあんパンや饅頭に使われている餡などを製造している食品メーカーです。愛知県みよし市の工場で、年間でおよそ9,000トンの餡を生産しておりまして、『聞いたことはないけれど 食べたことはある会社』だと自負しています。

貴社がDXへの取り組みを開始した背景について教えてください

杉本様:食品メーカーとして、労務環境の変化や食品に求められる要求が厳しくなってくる中で、従業員にかかる負担をなんとか軽減することができないかというところから弊社のDXへの取り組みは始まりました。

弊社が製造している餡は、大きい釜に小豆や砂糖を入れて炊いて作りますが、小豆自体が天然の農産物なので、1粒として同じものがありません。しかし、それでも求められるのは安定した同じ品質です。同じ品質の製品を作るために、これまでは長年勤めていただいているスタッフの職人的な勘やコツに頼っていました。今後も永続的に会社を発展させていくうえでは、DXツールを活用してこれまで伝承してきた技術を属人的なものにせず、会社の財産として継承していくことが求められていました。

現場の課題解決に「動画」の活用を検討したきっかけについて教えてください

杉本様:業務以外の実生活において、感覚的に「これいいな」とか「これを覚えておきたい」という時には、スマートフォンで写真や動画という形で情報を記録することが極めて一般的だと思います。しかし、それが業務になると急にアナログになってしまっていると感じていました。技術的な情報を動画でわかりやすく記録するということ以前に、記録することそのものの手軽さにおいてもギャップを感じていました。

このギャップを解消して、手軽にスマートフォンで記録したり視聴できる環境を整えることで、業務の枠組みの中では発信できなかったアイディアが見つかるかもしれない。そういったことも期待して、動画マニュアルツールである「tebiki現場教育」の導入を検討しました。

一人前になるまで5年かかると言われていた製餡の工程を、1年目の新人でも担当できるようになりました。

tebiki現場教育の導入の効果について教えてください

加瀬澤様:製造している餡の状態、例えば固さや色味などは、これまで工場で受け継がれてきたもので、口頭で聞いただけでは正しい状態を正確に伝えることが難しいため、現場では確認のために上司を呼んで直接確認してもらうしかありませんでした。いまはtebikiがあるので、完成品や製造過程の正しい状態を映像で見ることができます。そのため、実際に作っているところを観たことがない製品でも、tebikiの動画マニュアルを視聴して業務ができるようになりました。ベテランの勘やコツに頼ってしまっていたような、いわゆる属人化していた業務を大幅に減らすことができています。

杉本様:これまでの文章や画像で構成された手順書では、製品が完成した状態、ゴールが見えていない状態で仕事に取り組む必要がありました。現在はtebikiの動画マニュアルがあることで、製品のあるべき姿を先に視聴してイメージを持ってから仕事に取り組むことができるようになりました。これは仕事への取り組み方として大きな変化です。

例えば、釜で炊いている餡の状態確認のために、上司を呼んで確認してもらうことが日常的にありました。これに一回5分かかるとすれば、釜が20個あると100分かかります。これが、製造過程での確認作業が不要になり、最終確認のみで40分で済むようになれば、単純計算で1日あたり1時間の工数削減になります。年間250営業日として換算すれば、250時間の削減になりますし、実際には梱包など他の業務にも応用していますので、大規模な工数削減ができていると評価しています。

製餡の工程には、豆を炊く工程と餡を炊く工程があります。いずれの工程も最低5年は先輩についてやらないと一人前になれないというのがこの業界では一般的でした。それが、現在では入社1年目や2年目の社員が実際にtebikiの動画マニュアルを活用しながら豆を炊いています。つまり、これまでは具体的な製品の完成イメージを持って作業するために、3~4年ほどかかっていたわけです。tebikiの動画マニュアルで完成形を先に見てイメージをもって業務できることで、1~2年目のスタッフでも同じことができるようになったのは大きな進歩だと考えています。

tebikiを現場に展開する際に工夫した点を教えてください

杉本様:まず、tebikiを工場に展開するためのプロジェクトを立ち上げて、スタッフの役割を設定することから始めました。例えば、動画マニュアルを作成する際には、現場の人に動画マニュアルを作成してもらうのではなく、作成担当のスタッフが撮影や編集を行います。現場の人は「感性」だけを作成担当のスタッフに伝えてくれればいいと思っています。役割をしっかりと決めて、現場任せにならないように、現場の負担にならない形で展開を進めたことがスムーズに展開できた要因の一つだと思います。

鈴木様:私は動画マニュアルの作成を担当しているのですが、現場から「こういう動画を作ってほしい」と要望があがってきた際に、その工程を自分がよく知らない場合は、現場の方にヒアリングして把握しないと作成できません。そのため、動画作成を通じて現場の様々な知見を得ることができたなと思います。

杉本様:先行して現場に導入していたDXツールがあったこともあり、tebiki導入時にはタブレットなどの端末も準備できていました。そのため、必要な情報を調べたり動画マニュアルを視聴するためにタブレットを使うというところに現場の意識が向いていたことから、tebikiの現場への展開にあたっては大きな苦労は感じませんでした。

ただ、導入からもうすぐ1年になりますが、作成したマニュアルは1,000件を超えています。この数からわかることは、それだけの数の「感性」が現場にはあって、それを何らかの形にして残したいという要求があったということを示していると思います。

tebikiのオススメポイントについて教えてください

鈴木様:tebikiの操作はとても簡単です。また、機能のバージョンアップも頻繁にあって、機能要望にも応えていただけているので、作成担当としても非常にやりがいを感じます。

加瀬澤様:現場としては、tebikiがあることで「これはちょっと記録しておきたい」ということが気軽にできるようになったことが大きいです。これは良かったけど、これはダメだったというような判断を記録として残しておくことができることは、将来的にも製造現場で生きてくると考えています。

杉本様:Tebiki社のカスタマーサクセス担当の方には、先日実際に工場見学に来ていただきました。その時に当社の製品をお渡ししたのですが、後日 オンラインでの打ち合わせ時に、当社の餡を使って作ったスイーツを画面越しに見せてくださったことがありました。当社からのプレゼントに対してそのようにお返ししていただけたことが嬉しく、オンラインでの接点が中心でも非常に近い距離間でコミュニケーションが取れていると感じています。日常的なサポートについてもスピーディーに対応いただけており、そういったサポート面も非常に信頼しています。

tebikiが「クイックスタート」としての役割を果たすことで、新人を即戦力化できています

先進的なDXへの取り組みをされている貴社の観点から、複数のデジタルツールを有効に運用するポイントを教えてください

杉本様:デジタルツールごとの運用目的をしっかり設定することが最も重要です。弊社では、新しく現場に入る方がいち早く戦力として活躍してもらうためのツールとしてtebikiを運用しています。例えば、スマートフォンや家電製品には「取扱説明書」と「クイックスタート」のようなものがありますよね。弊社の現場では、tebikiが「クイックスタート」の役割を担っていて、一方で「取扱説明書」としての文書管理システムも運用しています。経験のない方に分厚い「取扱説明書」を渡しても、すぐには役に立ちません。tebikiがあることで、現場の教育負担を減らしながら即戦力になってもらうことができています。デジタルツールによって特徴や持ち味が違うので、そこを理解したうえで、自社が取り組むべき課題や目的に沿ったツールの導入を進めるべきだと思います。

最後に、今後の展望について教えてください

杉本様:現場にtebikiが浸透したことで、現場で問題が発生した時に「これはtebiki化しよう」という声が上がるようになったことは良いことなのですが、そう言っておけばいいと、ある種言い逃れになっている節もあります(笑)。 常に課題感を持ちながら、運営側でもっと活用しやすい方法を考えていけたらと思いますし、まだまだ無限の可能性があると考えています。