かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を展開する、現場改善ラボ編集部です。
OJTとは「On the Job Training」の略で、日本語で「現任教育」「職場内訓練」といった言葉で訳されます。先輩社員がトレーナーとして、実務を通して新人のスキルや知識など業務理解を深めることが目的です。
新人や未経験者の教育方法として効果的な手段の1つで、教育方法として取り入れている職場は多いでしょう。一方で、OJTを取り入れている職場では、以下のような悩みに直面するケースが少なくありません。
- トレーナーによって伝える内容がバラバラになっている
- トレーナーの業務負荷が増え、満足なOJTを行うことができない
- 新人によって理解度や定着度が異なり、うまく即戦力化できない など
そこで本記事では、OJTの意味やメリット/デメリット、OFF-JTとの違いなど、基礎知識を整理したうえで、即戦力化を実現するOJTによる教育/研修方法を解説します。また、OJTの課題である「トレーナーの業務負荷」を軽減できる手段もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、「製造現場における人材育成」でお悩みの方は、以下の記事も併せてご覧ください。
・製造業で現場教育が上手くいかない理由とは?原因や解決事例について紹介!
・OJTしたいけど余裕がない…。現場教育の改善ポイントとは?成功事例も紹介
目次
OJTとは?OFF-JTとの違いは?基礎知識を簡単に解説
OJT(On the Job Training)とは、新入社員や業務未経験者などの新人に、実務を通して業務に必要な知識やスキルを教育することです。
配属された部署の上司や先輩社員がトレーナーとなる場合が多く、新人1名に対し複数のOJT担当者が就くこともあります。トレーナーと新人が1対1で教育するため、新人の作業ペースや理解度に合わせて進められます。
本章では、OJTとは何か?基礎知識を理解するために、以下の3点について解説します。
- OJTで新人教育/研修を行う3つの目的
- OJTとOFF-JTの違い
- OJTとOFF-JTを組み合わせた教育/研修事例
OJTで新人教育/研修を行う3つの目的
OJTの最大の目的は、新人が実際の業務現場での経験を通じて、必要なスキルや知識を効率的に習得することです。実際の業務を通じて学ぶことで、理論だけでは得られない実践的な知識や技術を身につけることができ、即戦力化させられることが期待できます。
また、新人が実際の業務を通じて成功体験を積むことで、業務に対するモチベーションや自信を向上させられます。成功体験は新人の自己効力感を高め、業務に対する熱意や意欲を引き出す効果もあるでしょう。
ここではOJTで新人教育/研修を行う目的として、以下の3つを解説します。
業務の効率化
OJTを行うことで、新人が取り組む業務の効率化が期待できます。
座学でも仕事の流れやプロセスを理解することはできるものの、とくに手を動かすような動作が伴うような業務には「慣れ」が必要です。動作を理解するためには、実際の様子を「見て」「やってみる」ことを繰り返すことが必要です。
OJTでは、トレーナーの業務姿を「見て」、フォローを得ながら「やってみる」ことができます。
実際に目で見て取り組むことができ、短期間で慣れることができるため、新人が取り組む業務や作業を早期に効率化させることができます。
また、経験豊富な社員からのフィードバックやアドバイスを受けることで、より効果的な作業方法を最短距離で習得することも可能です。
心理的安全性の担保
新人は、慣れない環境で初めての業務を行うことに不安を覚えることが多いでしょう。
このような不安が焦りや緊張につながり、作業ミスを引き起こす恐れがあります。製造現場や建設現場など、キケンが潜む環境でのミスは時として「労働災害」といった、大きな事故やトラブルにつながることもあります。
OJTでは、トレーナーが隣で新人を直接フォローするため、不安を解消し心理的安全性を担保することにつながります。新人にとっては、トレーナーとコミュニケーションを重ねる機会となるため、今後の業務でも『○○さんなら相談しやすい』という意識が芽生えるきっかけにもなります。
離職リスクの軽減
新入社員の場合、受入れ初期段階ではミスマッチに起因する「早期離職」のリスクがあります。
労働政策研究・研修機構が公開している調査データによると、1年未満で離職している理由として「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」「人間関係がよくなかった」「仕事が自分に合わない」の3つが多い様子が伺えます。
▼1年未満での離職理由▼
【引用元:労働政策研究・研修機構「早期離職の背景と離職後の就業状況」】
労働条件は会社自体の問題であるものの、「人間関係がよくなかった」は前述のOJTによる心理的安全性の確保によって改善できる可能性があるといえます。
また、OJTによる教育/研修で業務やスキルの理解を早期に深められることで、新人の自己成長や成功体験の実感につながります。結果的に『この仕事できるかも』『合っているかも』という気持ちを引き出せることで、離職リスクが減り、職場への定着率アップに繋がることが期待できます。
OJTとOFF-JTの違い
OJTに近い言葉として「OFF-JT」があります。OFF-JTとは「Off the Job Training」の略で、日本語で職場外教育と表現されます。
OJTが「実務を通した教育/研修」であるのに対し、OFF-JTは「実務から離れ、セミナー等の座学を通した教育/研修」といった違いがあります。より具体的なOJTとOFF-JTの違いは、下記の表の通りです。
OJT | OFF-JT | |
---|---|---|
場所 | 職場内 | オンラインやセミナー会場 |
内容 | ・業務に直結するスキル研修 ・個人に合わせた内容 ・アウトプットが中心 | ・汎用的なスキル研修 ・確立されたプログラム ・インプットが中心 |
期間 | 3ヶ月~1年 | 1日~3日 |
トレーナー | 先輩社員 | 専門家や社内人事など |
金銭コスト | 低い | 高い |
それぞれで教育方法に違いがあるものの、OJTとOFF-JTを上手く組み合わせることで、新人の早期戦力化など教育効果を引き出すこともできます。ここからは、実際に上手く組み合わせて教育改善を実現している事例をご紹介します。
OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせている教育事例
OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせている事例として、新日本工機株式会社の事例をご紹介します。
工作機械や遠心力鋳造管、産業機械の製造と販売を手がける同社では、人材育成に力を入れており「教育道場」という独自のプログラムを展開しています。
以前まではOJTの一環で「先輩の横で見て学ぶ」ことが中心で、新人の早期戦力化に課題がありました。そこでOFF-JTの一環で教育道場を展開し、作業を熟知する「マイスター」と呼ばれるベテラン社員から全ての基本作業を教えているため、教え漏れが無くなり早期戦力化につながっています。
また、普段のOJTや教育道場では「動画マニュアル」を活用し、以下のような教育改善も実現しています。
- 作業の動きなどを視覚的にわかりやすく学べるように
- OJTによるトレーナーの教育負荷を軽減できるように
- 字幕の翻訳機能で外国人に対するOJTがスムーズに
- 文書マニュアルよりも作成工数が効率化
▼インタビュー動画:新日本工機株式会社▼
同社の動画マニュアルを活用した教育体制は、かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」によって構築されています。同社の取り組みは、OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせている好事例といえるでしょう。同社の取り組みについて、より詳しく知りたい方はこちらのインタビュー記事もご覧ください。
今回の事例のように、OJTをはじめとする人材育成を「動画マニュアル」で効率的に行う方法や効果について、詳しく解説したガイドブックもご用意しています。以下のリンクをクリックするとご覧いただけるので、ぜひ本記事と併せてご活用ください。
>>「動画マニュアルで現場の教育をかんたんにする方法」を読んでみる
OJTに取り組むメリットとデメリット
OJTによる教育/研修で効果を引き出すためには、メリットを把握しつつデメリット(課題)を解消することが必要です。
ここからはOJTに取り組むメリットとデメリットを、それぞれご紹介していきます。
OJTで人材育成/研修を行う5つのメリット
OJTを実施することで、教育を受ける新人だけでなく、指導を行う担当者/トレーナーにとってもメリットがあります。まずはOJTに取り組むメリットを詳しく解説します。
実務を通して実践的なスキルを学べる
OJTは実務を通して学ぶ方法であるため、業務をしながら必要な知識をすぐに習得できます。
また、教育体制が座学のような1対多数ではなく、1対1のマンツーマンで進める形になるため、新人の理解度に合わせて「教える内容の粒度」や「スピード」を調整できます。OJTであれば、新人の特徴によって柔軟に教育内容を最適化することができます。
この最適化が、新人の理解度/定着を助ける要素になるため、実務を通じてスキルを実践的に学ぶことができます。学んだ業務をすぐに実践できれば、即戦力としての活躍が期待できるでしょう。
人間関係を構築しやすい
OJTによる教育/研修には、新人とトレーナー間の円滑なコミュニケーションが不可欠です。
とくに新入社員の場合、初めての職場や人間関係に不安を抱えているかもしれません。両者の信頼関係が強まれば、新人がOJT担当者にアドバイスを求めやすくなったり、OJT担当が新人に対して不明点がないか確認しやすくなるでしょう。
OJTの場合、業務領域別にトレーナーが付くケースもあります。
その場合、さまざまな先輩社員に質問や相談をする機会も増えることで、徐々に職場の人間関係が拡がる効果も期待できます。
フィードバックを受けられる
OJTの場合、基本的には新人の隣にOJT担当者が付きっきりとなります。
業務の不明点や気づきは、トレーナーから即座にフィードバックをもらえる環境のため、新人は即座にフィードバックを取り入れて業務でアウトプットができます。インプットとアウトプットを高速で行えることで、結果的に新人の立ち上がり/即戦力化が早くなります。
またフィードバック時は、改善点以外にも良かった部分なども伝えることで、新人は『上手くできるようになった』と前向きな気持ちを引き出すことができます。フィードバックによって、モチベーションを上げられるという効果もあります。
外部講師を雇うなどの外注費用がかからない
OJTは基本的に社内の社員が担当するため、外部研修などの外注費用が削減できます。
座学の場合、新人の人数が多いほど講座参加の費用がかさみます。自社で座学を実施する場合は講師費用に加え、新人の移動費や宿泊費などの費用も発生する場合があります。また、教育内容も体系的なものになりやすく、実践的なものは学びにくいでしょう。
OJTであれば、このような関連費用を抑えつつも、実践的な内容を学ぶことができます。
OJT担当者の指導スキルが向上する
OJTによって知識やスキルが向上するのは、教育を受ける新人側だけではありません。指導する側であるOJT担当者も、トレーナーとして指導スキルの向上が期待できます。
OJTは1対1で行うため、相手の特徴や特性を見極めつつ、接し方や教え方など指導方法を工夫することが求められます。また教えて終わりではなく、フィードバックを通じて相手の能力やモチベーション向上を図ることが必要です。
このようなことをOJTで実現するために、OJT担当者自身も教育方法の工夫や改善を自ら行う機会になります。マネジメントの第一歩として、OJTは良いきっかけといえるでしょう。
人材育成が上手くいかない原因にも。OJTのデメリット
OJTには前述のようなメリットもある一方で、デメリットもあります。
OJTによる教育/研修を成功させるために、これらのデメリットも解消しながら取り組みを行う必要があります。ここからは、OJTでよく直面するデメリットを4つご紹介します。
トレーナーの余裕がなく中途半端なOJTになってしまう
トレーナーは基本的に、自身の定常業務を抱えながら新人に対する教育を行います。
定常業務の状況でトレーナーの余裕がない場合、新人への指導が行き届かず、育成が不十分になる恐れがあります。本来はマンツーマンで指導を行うべきところを、トレーナーが時間を取ることができず、新入社員が放置された状態になってしまうという場合も少なくありません。
このような状態が続くとOJTによるメリットを享受できずに、業務理解の長期化やモチベーション低下、離職の引き金など、新人の教育が上手く進まない原因となります。このようなデメリットを解消するためにも、以下のようなアプローチが必要でしょう。
- トレーナーの業務量を調整する
- OJTで「直接教える」部分を効率化する
ここで「直接教える」部分を効率化し、OJTの工数を7割削減した株式会社GEEKLYの事例をご紹介します。
OJTによる新人の独り立ちまで、3か月で150時間近くかかりトレーナーの負担に課題を抱えていた同社では、直接教える部分で動画マニュアルを整備し、トレーナーはロープレなどの定着度確認を中心に行う体制を整備しました。
その結果、3か月で150時間近く割いてたOJT工数を、3か月で45時間程度まで削減しています。具体的な取り組み内容は、以下のインタビュー記事をクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:年間の新人教育時間を3,700時間削減。トレーナーの教育時間が大幅に減り営業成績も向上!
OJTという名の放置状態になってしまう
前述のデメリットと通じますが、トレーナーの余裕がない場合は新人が放置状態になってしまう場合があります。この状態では、新人は『何をしたらいいか分からない…』と感じ、インプットなどの業務理解が進みません。
また、放置を防ぐつもりでトレーナーが『とりあえずやってみな』『出来ると思うまでやってみな』といった指示をすることもあるでしょう。しかし、このようなあいまいな指示は放置している状態と同義です。新人は自分で試行錯誤しなければならず、非効率な作業方法を身につけてしまう可能性があります。
そのため、新人が放置状態にならないように、自ら学習できる体制があると望ましいしょう。
金属キャップ/樹脂キャップの製造販売を行う日本クロージャー株式会社では、OJTで新人を待たせてしまう場面が生じていた中で、動画マニュアルによる学習コンテンツを拡充したことで、時間をムダにしなくなったという効果を実感されています。
インタビュー記事:新人OJTの7割を動画に置き換え。組み込み/分解/金型作業など、製造現場の動画マニュアルを作成。教育の手間を大幅に削減しました。
トレーナーによって指導にバラつきがある
OJTのトレーナーは業務内容やタイミングによって、異なるケースも考えられます。
その場合、『Aさんに教わった内容とBさんの内容が違う…』という場面に直面することがあります。新人視点では、Aさんから正しい手順を教わったはずなのに指摘を受けるという点で、不信感を抱くきっかけになる恐れもあります。
また、このような指導のバラつきが「業務手順/業務品質のバラつき」を生み、上記のような不信だけでなく事故やトラブルを引き起こす危険性もあります。この場合、トレーナー側で業務内容や社内ルールなどの「標準」が統一化されていない状態の解消が必要です。
このデメリットを解消するためには、業務標準化の推進が必要です。
一方で、OJTのように口頭で標準化しようとすると、同様に内容のバラつきが発生する恐れがあります。たとえば、正しい内容で基準となる「動画マニュアル」を作成して展開するといった形であれば、バラつきの解消が期待できます。
また新人視点では、分からない点や確認したい点は、質問しなくても繰り返し見ることで解消できる点で有効といえるでしょう。
関連記事:業務標準化を進める6つのステップとは?成功事例や役立つツールも紹介
トレーナーの指導力不足でOJTの内容が伝わらない
どんなに実務における経験やスキルが高くても、人に教えるスキルも同様に高いとは限りません。
OJTでは新人の特徴や特性、理解度に合わせて柔軟に教育を行えることがメリットとご紹介しましたが、柔軟に行えるかはトレーナーのスキルによって左右されます。トレーナーが習得している技術/技能は、それまでの経験に基づく内容であるため、体系的に言語化して教えられるとは限りません。
そのため、トレーナーのノウハウやカンコツを、経験が浅い新人に対して分かりやすく教えることは難易度が高いといえます。まずは伝える内容を「暗黙知」と「形式知」に分けて、比較的伝えやすい形式知から伝えるといった工夫が必要でしょう。
暗黙知と形式知を伝える時にも、動画マニュアルは有効となります。暗黙知/形式知とは何か?なぜ動画が有効なのか?というお話は、以下の記事内で詳しく解説しているので併せてご覧ください。
関連記事:【成功事例】技術伝承とは?進まない課題、成功させる方法を解説
ここまで、OJTのメリットとデメリットについて詳しく解説しました。
OJTのメリットを享受して、新人の即戦力化や人材育成を成功させるためには、ご紹介したデメリットや課題の解消もセットで行うことが必要です。OJTの場面で「動画マニュアル」を活用することで、デメリット/課題を解消しつつ、新人教育を効果的に推進することができます。
OJTをはじめとする、人材育成の場面で「動画マニュアル」を活用するメリットや、効果をまとめたガイドブックをご用意しています。以下の画像をクリックするとご覧いただけますので、ぜひこの機会にご活用ください。
OFF-JTに取り組むメリットとデメリット
OJTによる教育を進めるうえで、OFF-JTとどちらを行うか、どのように組み合わせるかなどを考える場面がでてきます。そのためにも、OFF-JTのメリット/デメリットも押さえておく必要があります。
ここからは、OFF-JTに取り組むメリットとデメリットを解説しましょう。
OFF-JTのメリット
指導内容を統一できる
OFF-JTは、複数人を一度に集めて座学を行います。そのため、OJTで生じやすい「人によって伝える内容が違う」というデメリットは生じにくいでしょう。
さまざまな部門の新人を集めて教育を行うため、業務に関する内容ではなく企業理念や方針、ビジネスマナーなど、全員に共通認識を持ってもらいたい内容を伝える手段として有効です。
トレーナーの負荷が軽減できる
OFF-JTの場合、一度に多数の相手に対して指導するため、OJTのように1対1で指導を行うよりトレーナーの負担が軽減できます。
すべての教育をOJTで行うのではなく、部門/職種問わず全員に共通する内容はOFF-JTにすることで、OJT担当者の負担を軽減することができます。一方で、社内の従業員がOFF-JTの指導を行う場合、事前準備などの負担は生じるので注意が必要です。
業務に関する知識を深掘りできる
OJTの場合、業務手順を中心に教える内容が多くあります。
そのため実際の場面では、なぜその業務が必要なのか?その業務によって得られること、部門間の連携など、把握しておくとよい背景情報や業務理解を深める場面が少ないです。OFF-JTの機会を設けることで業務の背景情報が得られ、業務に関する知識を深掘りできます。
業務の目的や背景を深く理解していることで、『もっとこうした方が、目的達成のためによいのでは?』といったような改善を考える視点も芽生えやすくなるでしょう。
OFF-JTのデメリット
現場意識を醸成しにくい
OFF-JTの場合、基本的には座学になるため「仕事現場で取り組む意識」が芽生えにくいです。
OFF-JTでは、基本的な仕事ルールやマナーなど業務知識を体系的に学ぶ場であるものの、学んだことをどのようにして現場でアウトプットすればよいのかまでイメージすることは難しいでしょう。
このイメージが欠けてしまうことで、内容の重要性も理解しにくく、一度の座学で内容を定着させることが難しいです。
学んだ内容を活用できない場合がある
前述の通り、OFF-JTはトレーナー1名に対して教育対象者は多数です。
そのため、教育内容はなるべく全員に共通する内容を中心に行ったとしても、業務内容や現場によって内容の重要性や具体的な業務手順/ポイントなどが異なり、細かい部分までフォローすることが難しいです。
結果的に、OFF-JTで学んだ内容だけでは業務にそのまま活用できるとは限らず、OJTによる人材教育もセットで行う必要があるといえるでしょう。
外部への委託費用や事前準備などさまざまなコストがかかる
OFF-JTを外部の研修会社による講座や、講師依頼による実施の場合、依頼する費用が発生します。
また、複数日の開催で従業員を集める場合、さまざまな拠点から人を集める移動費や宿泊費などの関連費用も発生します。このようなコストが積み上がることで、1つ1つは安価でも合計したときに大きなコストになる場合があります。
このような委託費用を抑えるために、自社の社員が講師を務める場合があるでしょう。
その場合、金銭的なコストは発生しませんが、本来その従業員が定常業務によって生み出していたはずの経済的価値が失われます。エース級の営業マンがOFF-JTを行う場合、実施中は営業活動ができないので、商談によって作れていたはずの売上見込みがゼロになるということです。
OFF-JTを自社の社員が行う場合、教育コンテンツの事前準備も必要になります。このような準備も、定常業務内もしくは残業して行うということになるため、日々の業務効率に悪影響を及ぼします。金銭的なコストは失いにくいものの、時間や会社にとっての経済的価値減少といったコストが生じるといえます。
ここまでご紹介したように、OJT/OFF-JTにはそれぞれメリットとデメリットがあります。
「新人を即戦力化させる」という目的を踏まえるのであれば、基本的にはOJTを想定して進めた方が実務の理解を早期に深めやすいといえるでしょう。次章から、即戦力化を実現させるOJT教育/研修の進め方を解説します。
新人を即戦力化!OJTによる具体的な教育/研修手法の進め方
OJTによって新人を即戦力化させるためには、単に付きっきりで教えるだけでは難しいです。ここからは、OJTによる教育/研修に取り組む具体的な進め方を、以下の7ステップに分けて詳しく解説します。
- 業務内容に合わせて教育担当者を決める
- 教育担当者に対する教育を事前に実施する
- 新人の特性に合わせて指導方法をカスタマイズする
- 業務を実演して伝える
- 実演した業務の説明/解説をする
- 実際に新人にやらせてみる
- 評価やアドバイスなど改善を繰り返す
特に、OJTによる人材育成の成功のためには「最適なトレーナーの選定」と、実演して終わりではなく「取り組む⇒改善するを繰り返すサイクル」が重要です。
新人の特性や業務内容に合わせて教育担当者を決める
OJTは、教わる側の能力や習得スタイルに合わせて教育担当者を決めることが望ましいです。
新人の中には業務への知識が豊富な人もいれば知識が浅い人もいます。そのため、教わる側に合わせて適切な教育担当者を割り当てましょう。例えば、業務への知識が浅い人には分かりやすい説明が得意な社員を割り当てるのが良いでしょう。
どのような人をトレーナーとして選ぶとよいのか?トレーナーに求められるスキルなどは、「OJTに関するQ&A」をご覧ください。
教育担当者に対する教育を事前に実施する
すべての教育担当者が、教え方に長けているとは限りません。人への教え方は、トレーナー自身が受けてきた教育方針の影響が少なからずあります。
現場改善ラボで、「製造現場におけるOJTアプローチ法」に関する講演を行った専門家によると、過去の体験談から『自分たちはこうだった』と執着してしまう(バラ色の回顧)ことで、教育のミスマッチが起きてしまうと解説しています。
そのため、教育担当者が学習棄却(アンラーニング)の意識を持つことが大切とされています。
アンラーニングとは、時代に合わせて新しいものを取り入れる考え方で、年代的にもギャップがあることが少なくないOJTでは必要な考え方とも言えます。
今回ご紹介した「バラ色の口顧」「学習棄却(アンラーニング)」のお話は、専門家による解説動画を見ていただくと、より詳しい解説があります。以下の画像をクリックすると、無料で動画をご覧いただけますので、併せてご活用ください。
新人の特性に合わせて指導方法をカスタマイズする
ここまでご紹介してきたように、OJTは教育対象者によって指導内容/方法を調整することが望ましいです。
そのためOJTをはじめる前に、指導方法の方針を決めておくと良いでしょう。主な新人のタイプは以下の3つが挙げられます。
- 価値観を尊重し育成したいタイプ
- 実践を通じて成長させたいタイプ
- 認めながら育てていくタイプ
この3タイプに対して、教育担当者に求められる指導のスタンスや働きかけ方を整理したものが以下の図です。
こちらでご紹介した内容はあくまでも一例です。
新人によって合っているものは千差万別で、1度で最適なスタンスを決めることは難しいでしょう。そのためOJTに入る前に、互いを知るようなコミュニケーションを重ねることができると、ある程度の方針を固めた状態で臨むことができます。
その場を設けることが難しい場合は、採用担当者など入社までコミュニケーションを重ねてきた担当者から、性格や特性などをヒアリングする形でもよいでしょう。ある程度の方針を固めてOJTに臨みつつ、徐々にスタンスを調整し改善を重ねていきましょう。
業務を実演して示す
OJTにおいて、業務を実演することは新人に具体的なイメージを持たせる重要なプロセスです。
実演時はただ流れを見せるだけでなく、業務のコツや注意点、トレーナー自身が作業時に意識しているポイントを言語化しながら伝えることが大切です。また、誤りが発生した場合のリスクや影響も理解させることで、より深い理解が得られます。
実演は、一度に全ての流れを伝えるのではなく、各工程ごとに細分化して進めることがオススメです。
1から10まで一気に伝えると、新人が情報を消化しきれず、結果的に学習効率が落ちる可能性があります。伝え方を細分化し、各工程の説明後に質問を受け付けることで、新人は不明点を解消しながら進めることができます。
しかし、この手法はトレーナーに時間的な負担がかかるというデメリットもあります。そのため、一部の企業では、実演の部分は「動画マニュアルの閲覧」で補完し、質問やフォローをトレーナーが行う形で負担軽減を図っています。
IT/WEB/ゲーム業界に特化した人材紹介事業を行う株式会社GEEKLYでは、OJTの中に動画マニュアルを組み込むことで、教育内容の統一化と効率化を実現し教育工数を7割削減しています。同社の詳細な取り組み内容は、以下のリンクをクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:年間の新人教育時間を3,700時間削減。トレーナーの教育時間が大幅に減り営業成績も向上!
実演した業務の説明/解説をする
実演が終わった後の説明や解説は、新人の理解を深め、業務の背景を伝える重要なステップです。
単に業務内容や不明点を補うだけではなく、その業務がなぜ必要なのか?という背景を説明することで、新人は自身の仕事の意義を理解しやすくなります。例えば、自分の業務が全体の成果にどのように繋がっているのかを伝えると、より業務の重要性や必要性が理解され、業務の取り組む姿勢も前のめりになり、動機付けを行うことができます。
また業務の説明は、できる限りその場で行うことが望ましいです。
即戦力化を目指すためには、教育のPDCAサイクルを早めることが重要です。そのためにも、ステップ4で紹介した動画マニュアルのように、実演部分を効率化できれば、トレーナーは解説に集中する時間を確保できます。
また、専門用語や社内特有の言葉が理解できないこともあるため、新人に合わせて言葉の選び方や説明の粒度を調整することが大切です。説明を通じて背景や目的を伝えることで、業務の理解がより深まり、業務品質の向上につながります。
実際に新人にをやらせてみる
新人が実際に業務を行う際には、トラブルのリスクを最小限に抑えるための準備が欠かせません。
ヒューマンエラーのようなミスが、時に重大な事故や労働災害に繋がることがあります。特に製造現場や建設現場ではそのリスクが高く、事前に対策を講じておくことが重要です。また、トラブルが経営的な問題に発展する可能性もあるため、あらかじめ業務の中でリスクのある部分を把握しておく必要があります。
>>「製造業におけるヒューマンエラーの未然防止と具体的な対策方法」を読んでみる
また、新人に作業を任せる際には、理解度や性格に応じて、業務の裁量を調整します。新人が初めから全てを完璧にこなすことを期待するのではなく、段階的に裁量を与えることがポイントです。
たとえば、最初は細かいサポートを行いながら、少しずつ独自の判断で業務を進めさせるようにします。軽微な失敗が発生した場合でも、すぐに指摘するのではなく、新人が行った手順を確認しながら、その原因を一緒に考えるアプローチを取ります。失敗を成長の機会に変えることで、新人の学びを深めることができます。
評価やアドバイスなど改善を繰り返す
新人を即戦力化するためには、評価基準を明確に設定し、継続的に業務改善を図ることが重要です。
評価基準はできるだけ数値に基づいたものを用いると、進捗状況が把握しやすくなります。たとえば、「〇個の制作物を一定期間内に作成する」という行動目標を設定します。これにより、新人は業務をこなせるようになることにフォーカスできます。
その後、次のステップとして、業務の品質や効率性を高めるための目標に進みます。
具体的には、「ミスを〇個以内に抑える」「〇時間以内に作業を完了させる」といった数値基準を組み合わせることで、確実な成長を促します。このように目標を段階的に設定することで、最終的には標準的な品質を基準時間内に達成できる状態になり、新人が戦力化されることが確認できます。
評価やアドバイスなどのフィードバックは、新人の特性やスキルレベルに応じて調整しましょう。
新人の業務理解度が浅く、自ら考えることが難しい段階のときには、具体的な指示を与え、すぐに改善策を提示するのが効果的です。逆に、新人が自ら考えられる状態になったときには、「どうしたらもっと良くなるか」といった質問を投げかけ、自分なりの解決策を考える機会を与えます。
このプロセスは、新人の思考力を鍛えるだけでなく、モチベーションの向上にも繋がります。また、ポジティブなフィードバックを心がけ、成長点や成功体験を積極的に評価することで、新人が前向きな姿勢を保てるように支援します。
このような新人の状況に合わせて、教育方針をカスタマイズするためにも、OJTを行うときにはスキルマップ(教育訓練計画表)を使って管理するとよいでしょう。
スキルマップとは、個々人のスキル取得状況をひと目で確認できる管理ツールです。取得状況が整理されていることで、次のステップに進むタイミングの見極めたり、新人の進捗をトレーナー間で共有することも可能です。スキルマップの具体的な解説は、以下のリンクをクリックしてご覧ください。
関連記事:【Excelテンプレ付】スキルマップの作り方!評価基準は?運用のコツも解説
ここまで、新人の即戦力化を実現するOJTの進め方をご紹介しました。一方で、OJTの品質を高めようとするとトレーナーの負担が増加する側面もあるでしょう。
次章以降では、OJT成功のために不可欠な「教える側の負担を軽減して取り組むポイント」や、「成功している企業のOJT事例」を中心に解説していきます。OJTによる新人教育を成功させたい方は、ぜひこのままご覧ください。
教える側の負担を軽減してOJTを成功させるポイント
トレーナーの業務量を維持しながら、OJTによる新人教育を推進することは現実的ではありません。そのような進め方をしてしまうと、以下のような課題につながります。
- トレーナー自身の業務優先度が依然と高く、新人教育の時間は限定的に
- 新人には「業務を見て覚えて」というだけの教育に
新人視点では、業務のカンコツやポイントが分からず、業務理解を深めることができません。また、手持ち無沙汰の時間が増えてしまい、中々トレーナーに質問することができないという場面も珍しくありません。
結果的に業務理解が深まらず即戦力ができないことは勿論、作業ミスの可能性などを高める恐れもあります。
会社視点では売上という点で、「戦力であるトレーナーの業務量を減らしたくない」というのが本音でしょう。そのため、OJTを成功させるためには効率化という点が不可欠です。ここからは、OJTを効率化して教える側の負担を軽減するポイントを詳しくご紹介します。
本章でご紹介するポイント以外にも、網羅的に負担を軽減する方法を知りたいという方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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複数のトレーナーで役割分担する
トレーナーを1人ではなく、複数人で見る体制も効果的です。
同じ部門内で教育を持ちまわることで、トレーナーの負荷を分散させることができます。新人にとっても、業務の不明点を誰かに聞ける状態になるという点でメリットがあるでしょう。負荷を分散させつつも、教育の頻度は落とさない効果的な手段の1つです。
一方で、役割分担するときには「習熟度の共有」「教える内容のバラツキ」に注意が必要です。
新人に対して「何を教えて何ができる状態なのか」が可視化されていないと、各トレーナー視点では何を優先的に教えればいいのか?どのレベルの業務をお願いしたらいいのか?分からない状態になります。
この状態を解消するためには、スキルマップによる教育訓練状況の可視化が有効です。現場改善ラボでは、OJTをはじめとする新人教育で活用できる「スキルマップのテンプレート」をご用意しています。以下のフォームからすぐダウンロードできるので、ぜひご活用ください。
また、複数のトレーナーになると、トレーナー間で業務認識の差異から、教育内容のバラツキにつながる恐れがあります。新人視点では『Aさんに教わった内容通りに取り組んだら、Bさんから注意された』という点で、不満を生み出しかねません。
この状態を防ぐために、動画マニュアルによる業務内容の標準化に取り組んでいる事例もあります。動画マニュアルを活用した標準化の方法/事例については、以下の画像をクリックしてガイドブックをご覧ください。
「見せる」「実践する」部分を動画マニュアル化する
OJTでトレーナーが新人に付きっきりになる場面が、業務を見せる/実践する部分です。
この部分は、新人の特性や理解度に関わらず、誰に対しても同じ内容を伝える部分です。そのため、トレーナーが毎回目の前で実践しなくても、正しい内容で動画マニュアルを作成することで『まずは動画を見ておいて』と効率化することができます。
OJTで教える内容は、PCや機械の操作/顧客対応/商談時の所作/製品の組立手順など、「動き」にまつわる内容が多いです。このような動きにまつわるノウハウは、OFF-JTのような口頭による教育や、紙/文書マニュアルのようなテキストベースによる情報共有より、視覚的に理解することができます。
また、新人視点では見逃した部分/分かりにくかった部分を、繰り返し動画で見直しできる点もメリットです。新人は自分のペースで反復学習を行い、業務理解を深めることができます。 これにより、トレーナーの拘束時間を大幅に削減し、定常業務への影響を最小限にすることができます。
実際、首都圏を中心にスーパーマーケットを展開する株式会社Olympicも、OJTに動画マニュアルを活用したことで『動画で復習でき、教育工数がものすごく効率化した』『エース社員の教える時間を減り、売上の機会損失が減った』と語っています。
次章からは、ここまでのポイントでご紹介した「動画マニュアルの活用」について、具体的な効果やメリットを解説していきます。
効果的かつ効率的なOJTには「動画マニュアル」の活用が有効
ここまでご紹介したように、OJT成功のためには「教育の効率化」が不可欠です。動画マニュアルを活用することで、トレーナーによる指導効率の改善/新人の反復学習による理解促進が期待できます。
ここからはOJTに動画マニュアルを活用する効果やメリット、実際に活用できるツールについてご紹介します。
OJTに動画を取り入れるメリットや効果
トレーナーがいなくても反復学習できる
再掲ですが、業務の実演/説明を動画マニュアル化することで、新人は業務の基礎知識をトレーナーがいなくても学ぶことができます。
また、このような学習は人によって理解の速度に差が生じます。動画マニュアルであればトレーナーを拘束せず、新人は自分のペースで何度でも繰り返し学べます。反復学習を繰り返すことで、記憶の定着にもつながり理解度の向上も期待できます。
加えて、業務や会社に慣れていない新人にとって、定常業務をしているトレーナーに「声をかけて質問する」というのは、どうしても気が引けてしまうことがあります。動画マニュアルであれば、このような不安も解消することができます。
業務手順などの「動き」を視覚的に伝えられる
OJTで伝える内容には、PCや機械の操作方法など「動き」がある場面が少なくありません。
とくに製造業や建設業、小売業のような、人/モノ/機械の動きが伴うような業界では、OJTのような口頭ベースの教育、文書マニュアルのようなテキストによる情報共有では、動きをイメージしにくく理解が進みにくいです。
動作のカンコツやポイントを動画で視覚的に伝えられる点に加え、前述した自分のペースで反復学習ができるという点も相まって、新人の業務理解を深められることができます。
また、言葉が異なる外国人従業員に対するOJTでも、視覚的に伝えるという点で効果的です。
かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」のように、動画マニュアルの字幕を自動翻訳できるようなツールを活用することで、外国人従業員へのOJTも効果的かつ効率的に行うことができます。
文書マニュアルほど作成/更新工数がかからない
動画マニュアルと聞くと『作成に手間がかかりそう』と感じるかもしれませんが、文書マニュアルより作成や更新の手間が少ないことも珍しくありません。
OJTの教育資料として文書マニュアルを作成しようとすると、主に以下のような4ステップが発生します。
- 伝えたい内容の整理/業務内容の洗い出し
- 誰が読んでも分かりやすい文章に整える
- 補足情報として、図の作成/写真を用意する
- 文章と補足情報を組み合わせる
マニュアル化する業務によって左右されますが、文章の作成は業務のカンコツ/ポイントを言語化しつつ落とし込んでいきます。言語化が難しい業務であるほど、2までのステップで膨大な工数が生じてしまいます。
また、難易度が高い業務の場合、写真などの補足情報の量も増えるでしょう。作成工数がかかるのはもちろん、使用する新人にとって、情報量が多い「分かりにくいマニュアル」と化す恐れがあり、使われずに形骸化してしまう可能性もあります。
動画マニュアルであれば「対象業務の様子を撮影」「編集を行う」という2ステップで完結します。
とはいえ『動画の編集は難しいのでは?』と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでここからは、動画編集未経験者でもかんたんに動画マニュアルを作ることができるツール、tebiki現場教育の概要や活用事例についてご紹介します。
動画マニュアルの作成/習熟度管理ができる「tebiki現場教育」とは
かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」とは、製造業/物流業/小売業/ITなど、さまざまな現場で抱える人材育成の課題を解消しているツールです。
▼「tebiki現場教育」紹介動画▼
動画マニュアルの作成だけでなく、スキルマップ機能などを活用した習熟度/教育計画の管理も行うことが可能です。ここからは代表的な機能を4つご紹介します。
誰でも簡単に動画マニュアルを作成できる
tebiki現場教育は、「操作のかんたんさ」にこだわって作られたツールです。
一般的な編集ソフトの場合、クリエイター向けがゆえに機能が豊富すぎて使いこなせないこともあります。tebiki現場教育は「人材育成に必要な機能」を厳選して取り揃えています。そのため、操作画面はシンプルで使いやすく、編集未経験の方やパソコン操作に不慣れな方でも直感的に動画マニュアルが作成できます。
実際に、tebiki現場教育を活用することによって、1本1時間弱かかっていた動画マニュアル作成が15分ほどに短縮された事例もあります。どれくらい簡単に動画マニュアルを作成できるのかは、以下の事例インタビューからご確認いただけます。
インタビュー記事:動画マニュアル作成時間が75%削減!教育体制を強化し、お客様に喜ばれる商品を提供したい
テスト機能やレポート機能で、理解度や学習進捗を把握できる
tebiki現場教育には、従業員の理解度をチェックするための「テスト機能」が搭載されています。
動画視聴後や研修後にテストを実施することで、新人がどの程度業務を理解しているかを把握したうえで、教育内容や頻度を調整することが可能です。また、テストの自動採点機能もついているため、教育担当者は手間をかけずに従業員のスキルを確認できます。
▼tebiki現場教育で作成したオリジナルテスト▼
また、レポート機能では「いつ」「誰が」「何のマニュアル」を見たのか可視化が可能です。OJTトレーナーは、新人の学習進捗をリアルタイムで追えるため、進捗に合わせてフォローに入るなど、効率的にOJTを行うことが可能です。
100ヶ国語以上の言語に自動翻訳
tebiki現場教育で作成した動画マニュアルは、100ヶ国語以上の言語に字幕を自動翻訳できます。
外国人従業員にOJTを行う場合、言語の違いによる教育/コミュニケーションの難易度が上がることに加え、文書マニュアルの多言語化などの工数が発生します。
tebiki現場教育では、字幕の自動翻訳機能が備わっていることで、外国人従業員がそれぞれの母国語で業務理解を深めることが可能です。さらに2024年10月現在、英語やベトナム語などの計15言語で字幕を読み上げられるため、視覚的な情報だけでなく、耳からの情報でも学習が可能です。
▼tebiki現場教育の自動翻訳イメージ▼
気になる「翻訳精度」ですが、日本語の日常会話程度であれば、問題なく伝わるレベルです。もし自動翻訳で伝わらないということであれば、後から修正することも可能です。
このような機能を活用したことで、外国人従業員の業務理解度の向上につながった事例もあります。詳細は以下のインタビュー記事をクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:新人研修の手間が1/10に!自動字幕翻訳で、外国⼈スタッフの理解度テスト正答率が100%になりました。
「スキルマップ機能」で従業員のスキル取得状況を可視化
tebiki現場教育では、スキルマップ機能も搭載しています。そもそも『スキルマップとは何か?』という方は、こちらの記事も併せてご確認ください。
従業員全員のスキル状況を把握できる「スキルマップ」機能も搭載しています。この機能を活用すれば、「いま誰が何をできるのか」を一覧形式で確認できます。
OJTの教育計画と照らし合わせて、スキル取得が遅れているようなケースがあれば、教育体制の見直し/調整を図り、新人の即戦力化を促すような使い方ができます。また、新人視点でも、自分が今何をできる状態なのか?次は何ができる必要があるのか?理解することができます。
OJTの場面におけるスキルマップは、トレーナーなどの管理者視点では教育計画を管理する材料として、新人視点では独り立ちできるまでのロードマップとして活用することができます。
今回ご紹介した内容以外にも、tebiki現場教育にはさまざまな機能を搭載しています。
『他の機能も知りたい』『紹介されていた機能をより詳しく知りたい』『tebiki現場教育のプランを知りたい』といった方は、以下の画像をクリックして概要資料をご覧ください。次章では、tebiki現場教育による動画マニュアルの活用で、OJTによる新人の即戦力化/効率化に成功している事例をご紹介します。
OJTによる新人の即戦力化/効率化に成功している事例
ここからは、OJTによる即戦力化やOJTの効率化に成功している企業事例をご紹介します。本章でご紹介する事例は、tebiki現場教育による動画マニュアル活用で改善に成功しています。
- 株式会社Geekly
- アサヒ飲料株式会社
- 日本クロージャー株式会社
- 株式会社ハングリータイガー
『他にもOJTに成功している企業事例を知りたい!』という方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:OJTの成功事例15選!成功した企業の特徴、OJTの弱点を克服するツールを紹介
株式会社Geekly
IT/Web/ゲーム業界専門の人材紹介事業を手がける株式会社Geeklyでは、新人のOJTに動画マニュアルを活用し、年間の新人教育時間を3,700時間削減し、トレーナーの負荷を大幅に削減しています。
▼従来のOJTで抱えていた課題
- 教え方のバラツキにより、新入社員の理解度に差が生まれる
- 新人が入社する度にOJTが発生し、トレーナーの教育工数が膨大に
- OJTによる教育工数が膨大で、新人を請け負うチームは営業目標が未達になる
▼OJTに動画マニュアルを取り入れた結果
- 指導内容が統一され、業務標準化を実現
- トレーナーの教育工数を7割削減
- 教育工数の削減で導入前より会社全体の営業成績が向上
具体的な動画マニュアル活用背景や効果、導入の流れなどは以下のインタビュー記事をクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:年間の新人教育時間を3,700時間削減。トレーナーの教育時間が大幅に減り営業成績も向上!
アサヒ飲料株式会社
アサヒグループで三ツ矢やアサヒ十六茶、ウィルキンソン/カルピス/アサヒおいしい水などのブランドを製造販売するアサヒ飲料株式会社では、新人受け入れ時のOJTに動画マニュアルを組み込み、1日の教育時間から約2時間まで削減しています。
▼従来のOJTで抱えていた課題
- 未経験の新人が独り立ちまでに4か月かかっていた
- トレーナーである熟練者が教え方に悩んでいた
- OJTに半日以上費やし、定常業務にも影響が出ていた
▼OJTに動画マニュアルを取り入れた結果
- 1日のOJTが長くても2時間で、定常業務もこなせるように
- マニュアル(手順書)の作成が、従来より1/3の時間でできるように
- 新人がコツをすばやく習得し、早期に熟練者と同じ作業ができるように
具体的な動画マニュアル活用背景や効果、導入の流れなどは以下のインタビュー記事をクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:OJTや手順書作成工数を大幅に削減!熟練者の暗黙知も動画で形式知化
日本クロージャー株式会社
ペットボトルや瓶などの樹脂/金属キャップ等の製造販売を行う日本クロージャー株式会社では、OJTに動画マニュアルを活用したことで、基本的な業務の7割は新人自身が理解~実践までできるようになりました。
▼従来のOJTで抱えていた課題
- 定常業務の間、新人をいつも待たせてしまっていた
- 新人から『質問したいのに聞きづらい』という悩みが挙がった
- マニュアルや口頭による説明では伝わり切らなかった
▼OJTに動画マニュアルを取り入れた結果
- 作業の7割は動画で理解し、3割だけOJTでフォローする効率的な体制に
- 教える側も教わる側も、時間を気にせず学べる環境を構築
- 自動翻訳によって、外国語翻訳の手間がなくなる
具体的な動画マニュアル活用背景や効果、導入の流れなどは以下のインタビュー記事をクリックしてご覧ください。
インタビュー記事:新人OJTの7割を動画に置き換え。教育の手間を大幅に削減しました。
株式会社ハングリータイガー
横浜市を中心に、オリジナルハンバーグとステーキの専門店を展開する株式会社ハングリータイガーでは、OJTに動画マニュアルを取り入れ、OJTを効率化しつつ接客の所作/業務の動きを分かりやすく新人に伝えています。
▼従来のOJTによる課題
- 接客の細かい所作、調理手順などの動きが特に伝わらなかった
- 人によって教え方や教え方の丁寧さにムラがあり、業務品質に不安を感じた
- 編集ソフトによる動画マニュアル活用が上手くいかなった
▼OJTに動画マニュアルを取り入れた結果
- まずは「動画(tebiki)を見ておいて」の一言で済むように
- 動画マニュアルによって、キッチン/ホールに出る一歩前までレベルアップできるように
- 頻度が低い業務も、その場で確認し生産性が向上した
具体的な動画マニュアル活用背景や効果、導入の流れなどはインタビュー記事「マニュアル作成やOJTの工数削減!接客の所作や業務の動きを伝えるには動画がベスト」をご覧ください。
今回ご紹介した事例以外にも、さまざまな業界でOJTをはじめとする教育改善を目的に、動画マニュアル活用が進みつつあります。
『より多くの活用事例を知りたい!』を感じる方に向けて、tebiki現場教育を用いた動画マニュアル活用事例集をご用意しています。以下の画像をクリックして、本記事と併せてご覧ください。
OJTに関するQ&A
どんな人がOJTをするべきですか?
OJTの指導者に向いている人の特徴として、「説明が上手/丁寧な人」「業務の重要性/目的を自ら考えて理解している人」などが挙げられます。
東京商工会議所が実施した「2024年度新入社員意識調査」によると、理想と思う上司として特に以下の3つが選ばれていました。
- 仕事の指導を丁寧に行うこと(49.2%)
- 明確な理念や考えを持っていること(36.1%)
- 人間関係、チームワークを重視すること(35.8%)
新入社員のような若手にとって、専門用語を多用せず分かりやすい言葉で伝えたり、伝え方も理解しやすい言葉選びをするような丁寧さがある人がOJTトレーナーとして望ましいでしょう。
また、「業務の重要性/目的を自ら考えて理解している人」は、OJTで指導する業務内容への理解が深く、新人が感じた疑問に対しても的確に答えることができます。また、業務の目的を捉えている人であれば、目的達成のために人間関係/チームワークが大切ということも理解しているでしょう。
OJTトレーナーに必要なスキルは何ですか?
OJTトレーナーには、以下のような指導スキルがあることが望ましいです。
- ティーチング
- コーチング
- 伝え方
- オープンクエスチョン
ティーチング
「なぜこの作業が必要か(Why)」、「何をするのか(What)」、「どのようにするのか(How)」の3つを意識し、業務を正しく伝える力です。
ただ単に作業内容を教えても、新人は作業の目的を理解していないないため、どのような点に気を付けて作業すればよいかわからないことがあります。そこでWhy、What、 Howを明確にし、業務を正しく伝えることが必要です。
コーチング
新人が自ら考えて行動できるようにサポートする力です。すべて教えるのではなく、新人が自分で答えを導き出せるように誘導します。
伝える力
難しい内容でも、新人の理解能力や知識に合わせて言葉を選びながらわかりやすく伝える力です。
また伝えた後、新人が理解しているか確認することも大切です。従来の「先輩の背中を見て学ぶ」などの教育方針はあまり通用しないでしょう。
オープンクエスチョン
新人が「はい」または「いいえ」で答えられてしまうような二者択一の質問ではなく、自由な発言を引き出す質問を行うことです。
たとえば、新人が何かミスをした際、ミスを直接指摘するのではなく、「どうすればミスは起きなかったと思う?」とオープンクエスチョンで問いかけることで、新人が自ら理由を考える機会を与えられます。
OJTに向いていない業務は何ですか?
OJTに向いていない業務として、主に以下の2つが挙げられます。
- 専門的な知識が必要な業務
- イレギュラー要素が多い業務
専門的な知識が必要な業務
専門的な知識が必要な業務はOJTに向いていないといえます。
十分な経験や専門知識がないと作業ができない業務は、専門的なトレーニングや長年の経験が必要です。OJTで指導するといえども、未経験の若手社員が学ぶにはハードルが高く難しいことが背景にあります。
また、専門的な業務にはリスクや責任が伴うことが多く、未経験者がこれらの業務を行うことは組織にとってリスクをもたらす可能性があります。
イレギュラー要素が多い業務
日によって急な業務変更が発生したり、外部環境に左右されやすいといったイレギュラー要素が多い業務もOJTに向いていないです。
このような業務では予測困難な状況や変更が急に発生するため教育スケジュールを立てるのが困難であり、OJTで教育することが難しいといえるでしょう。
OJTは何回も繰り返してやるべきですか?
OJTを繰り返し行うことで、業務に関する理解を深めることができるとはいえ、何回も繰り返すのは教育者側に負担がかかってしまい効率が悪いです。
そのため、できるだけ少ない回数のOJTで理解してもらうことが大切です。
少ない回数でも正しく業務理解を進めるためには、前述でご紹介したような「見せる/実践する部分を動画マニュアル化」することが有効です。
OJT期間は平均してどのくらいですか?
OJTの期間は業種や職種、組織の方針によって異なりますが、3ヶ月から1年が平均です。
未経験者が1人で業務をこなせるようになるには最低でも3ヶ月かかるとされ、複雑な業務を遂行できるようになるには半年〜1年ほどかかり、中には数年かけてOJTをするような職種もあります。
製造業の場合、業務内容によってOJT期間が異なります。例えば、自動車製造や航空機製造などの高度な技術を要する分野ではOJTの期間が半年以上に及ぶこともありますが、一方で簡単な組み立て作業などの業務では数週間程度でOJTを完了する場合もあります。
「OJTの3つの原則」とは何ですか?
OJTの3つの原則とは、「意図的」「計画的」「継続的」の3つを指します。この原則は特定の個人や団体が唱えたものではなく、多くの職場でOJTが実施されてきた中で、特に重要な要素として挙げられるものだと考えられます。
- 意図的:教育担当者がOJTの目的について理解していること
- 計画的:個人のOJT計画に則った教育を行っていること
- 継続的:現状の業務レベルにあった教育を繰り返し実施していること
この原則に基づいて指導を行うことで、若手社員の成長とスキルの習得を促進することができます。
【まとめ】負担なくOJTで即戦力化するために「動画マニュアル」を活用しよう!
OJTとは、中堅/ベテランの社員が新人に直接業務指導をする教育/研修手段です。新日本工機株式会社の事例のように、OJTだけではなくOFF-JTも組み合わせた体制によって、新人の即戦力化を助けます。
OJTで教えるメリットは多い一方で、「指導内容がバラつく」「トレーナーの負担が増加する」など、定常業務に影響を及ぼす側面が少なくなく、結果的にOJTが上手くいかないと感じてしまう現場もあります。
このようなOJTのデメリット/課題を解消し、効果的かつ効率的な教育/研修を行う手段として、OJTの一部に動画マニュアルを組み込むことが有効です。動画マニュアルを活用することで、トレーナーの負荷を7割削減したり、新人の業務理解度向上といった効果が引き出せます。
このような効果を引き出しているツールが、かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」です。
動画編集未経験者でもかんたんに作成/管理ができるだけでなく、テスト機能やレポート機能、スキルマップ機能など新人の教育状況や計画を管理する機能もあります。
具体的な機能やプランの解説は、以下の画像をクリックすると資料をご覧いただけます。ぜひこの機会に、tebiki現場教育を活用したOJT研修/教育の改善をご検討ください。